村尾旅館は、大正12年(1923)に刊行された「上乃山温泉案内」に既に旅館としての名前が記載されており、大正11年(1922)の温泉の湧出後すぐに旅館経営を開始している。その後、客室や講堂、大広間等を増築し、昭和12年(1937)敷地中央に木造平屋建の離れ(ニュー村尾浪漫館離れ)が建てられた。この離れは5棟の客室からなり、それぞれ日本庭園に面するように独立して配置され、渡り廊下で結ばれている。セメント瓦を用いた瓦屋根、赤と白の矢羽柄に塗り分けられた洗い出しの腰壁、アーチ状の窓など、和洋折衷の外観が往時の雰囲気を伝え、内部は室名の「新春」「末広」「観月」「一楽」「千鳥」が表す通り、客室ごとに主題の異なる装飾が施されている。登録基準のうち、「造形の規範となっているもの」との評価で登録有形文化財に登録された。
所在地 |
山形県上山市 |
施工主 |
所有者:㈲村尾旅館 |
竣 工 |
登録年月日:2016年11月29日 |